新刊『環境と観光の経済評価』

栗山・庄子編『環境と観光の経済評価－国立公園の維持と管理』勁草書房が出版されました。国立公園を対象に、環境経済学の観点から観光利用と自然環境の保全のあり方について分析しました。また、トラベルコスト法、ＣＶＭ、コンジョイント分析などの評価手法を概説するとともに、離散選択モデルの最先端の研究成果を紹介しています。
本書の裏話は以下を参照。

本書が生まれるきっかけとなったのは「トラベルコスト法研究会」がありました。自然公園に関心を持つ経済学研究者が数人で、定期的に集まって研究会を開催していましたが、そこでの研究成果を出版しようという話になったわけです。最初は私が提案したのですが、その他のメンバーは、いきなり出版という話を聞いて、かなりビビッていたようです。
本書は複数の著者による本ですが、全体的に内容や書式が統一化されていて、一見すると共著とは思えない作りになっていると思います。それは、一月に一回程度のペースで定期的に集まって議論したり、メーリングリスト上でも常に活発な議論をしながら執筆を進めていたからです。執筆者はいずれも多忙な中で、本書のために相当な時間を費やしていました。本文や図はすべてTeXで執筆者が作成したものです。特に図やグラフがきれいに仕上がっていますが、これは庄子さんの気合の入った作品です。最後は、釧路の現地調査に校正原稿を抱えて、昼間はフィールド調査、夜は原稿チェックというハードなスケジュールでしたが、おかげで非常に完成度の高い本になっていると思います。
ちょうど１０月の環境経済・政策学会大会の直前に見本が完成しましたので、大会のときに執筆者の皆さんに本書の見本を手渡しました。きれいな写真が表紙の見本を手にして、みんな半分泣きそうになって感激していました。