このページではバークレーでのできごとなどを紹介します。

(12)イラク戦争とベイエリア

イラク戦争が始まってから約1ヶ月。イラク戦争でアメリカに対する見方が変わったという人も多いかもしれないけど、バークレー周辺地域のベイエリアはアメリカの中ではちょっと異色で、戦争反対の人が比較的多い地域。今回はイラク戦争に対するベイエリアの様子を紹介するね。

イラク戦争世論調査(全米)

資料:The Gallup Organization
これは全米規模で行われた世論調査の結果。

開戦直後から戦争賛成が約7割のまま今まで推移しているね。このようにアメリカ全体ではイラク戦争に対して賛成の人が多数派。

戦争が始まる頃からアメリカのテレビや新聞などはどれもイラク戦争に対して肯定的な記事ばかり報道するようになってきたね。戦争で被害を受けたイラク市民の声とかはあまり放映されなくて、日本やヨーロッパでの報道とはかなり違う感じだったよ。なんとなく情報操作されているような感じがしばらく続いてたね。

イラク戦争世論調査(ベイエリア)

資料:ABC 7 Polling Center
こちらはベイエリアで行われた世論調査の結果。

バークレーやサンフランシスコなどのベイエリアでは開戦直後は戦争賛成が42%に対して、戦争反対が49%と反対派の方が多かったよ。ベイエリアはアメリカの中ではリベラルな雰囲気が強くて、好戦的かつ企業よりのブッシュ政権とは正反対の立場の人が多い地域。ここでは多様な価値観を持つ人々が、お互いの価値観を認め合いながら共存しているよ。だから、軍事力でイラクを開放するというやり方に対して否定的な意見を持つ人が多いんだね。

でもフセイン政権が崩壊した後は、徐々に戦争賛成の意見が増えてきて、現在は賛成・反対がどちらも同じぐらいになっているね。

ピースマーク


これはバークレーのレストラン「Chez Panisse」に登場したピースマーク。なんとガーリックでできているんだよ。バークレーではピースマークがいたるところで見られるよ。

ベイエリアでは戦争が始まる前から反戦デモが繰り返されていたよ。特に、3月28日(金)のサンフランシスコはクリティカルマスと反戦デモが重なったのですごい渋滞になって大混乱。他にも少ないけど戦争賛成派の集会があったり、なぜかヨガの集団が戦争反対を訴えていたり。この様子はSan Francisco Chronicleの記事が詳しいよ。こんなふうにいろんな人がそれぞれ共存しているのかベイエリアの特色なんだよね。

ちなみにクリティカルマスとは、1992年にサンフランシスコで始まった自転車愛好家たちの運動のこと。今では世界各地で開催されているね。サンフランシスコでは毎月最終金曜日に自転車好きの人たちが自転車の権利を訴えるために集まって、お祭り気分でサンフランシスコの街中を走り回るんだよ。クリティカルマスが始まると、そのあいだは自動車は身動きでなくなっちゃうんだよ。世界各地のクリティカルマスについてはcritical-mass.orgが詳しいね。

バークレーのFSMカフェ

これはバークレーキャンパス内の「Free Speech Movement Cafe」。研究室から近いのでいつも愛用しているよ。

バークレーでも反戦デモが連日行われていたよ。 開戦直後の3月20日にはバークレーの学生がSproul Hallに座り込みのデモを行い、119人が逮捕される事態も発生(そのときの記事はこちら)。一方、UCバークレーのRobert M. Berdahl総長は3月20日のSan Francisco Chronicleに寄稿し、「軍事力では安全は保障されないことは歴史的教訓である」と歴史学者の立場からブッシュ政権のイラク戦争を批判(記事はこちら)。

バークレーでは頻繁にデモが行われているんだけど、その原点は1964年に起きた「フリー・スピーチ・ムーブメント」。学生の言論の自由を訴えた学生の抗議運動が激化し、12月には800人が逮捕される事態にまで発展。これに対して1万人をこえる学生や教員がSproul Plazaに集まり抗議の声はさらに拡大。結局、12月8日に大学側は学生のスピーチ活動の自由を認めることになったんだ。このフリー・スピーチ・ムーブメントがきっかけとなって、学生運動は全米の大学に広がっていったんだよ。

バークレーは、このフリー・スピーチ・ムーブメントをいつまでも忘れないために、このキャンパス内のカフェの名前として残したんだ。このカフェの中に入ると、当時の写真がいくつも飾られているよ。当時の運動の経過や報道記事などはこちらのウェブサイトに記録が残されているね。それと当時の映像はこのDVDを参照。

戦争賛成・反対は人によって意見が異なるかもしれないけど、やはり自分の意見を自由に主張できることは重要だよね。

ちなみに、バークレーの学生のデモ活動だけど、授業をボイコットするような過激なのは少ないみたいだね。戦争中にも関わらず授業はきちんと普段どおりに行われているよ。学生は授業のない時間はデモに参加して、授業時間になったら授業に戻るというかんじ。こんなときでも勉強のことを忘れないのは、さすがバークレーの学生だね。


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